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2010/08/20

特許庁システム最適化計画の再開に向けて-「特許庁情報システムに関する調査委員会」報告の提出

 経済産業省は、特許庁の情報システムに関連する収賄事件を受けて設置された「特許庁情報システムに関する調査委員会」(第三者委員会)からの調査報告が本日平成22年8月20日付で大臣に提出されたと発表した。
 本調査委員会は、平成22年6月22日に、特許庁職員が同庁の情報システムに関連し、収賄容疑で逮捕されたことを受け、同月29日に委員長の五木田彬弁護士ら6名からなる有識者で構成、設置され、事実関係の徹底的な解明及び再発防止のために必要な措置の検討、新事務処理システムの技術的な検証及び改善措置の検討を行ってきたもの。

 調査報告書の第1部「調査の経緯及び目的」と第2部「第2部事実関係の解明及び再発防止策について」では、本件事件の発生経緯、特許庁システム最適化計画(「特許庁運営基盤システム」と「特許庁新検索システム」)の遅れ、既に起訴された職員以外へ職員が業者からの飲食接待やタクシー券提供を受け入札公告前に仕様書を提供していたこと等が明らかにされ、今後の再発防止策の提言などがなされている。
 職員による内部情報の提供は国家公務員法第100条第1項に違反する可能性があるが、公訴時効等の兼ね合いから、犯罪の成否についてのこれ以上の言及は差し控えるとしている

 また、第3部「特許庁情報システムの技術的検証及び今後の開発に向けての提言」では、特許庁システム最適化計画(「特許庁運営基盤システム」と「特許庁新検索システム」)の推進体制、遅れの原因、これまでの成果物の検証、今後の推進等についての提言がなされている。指摘された原因、問題点は、推進体制、調達のあり方、特許庁と業者の協力体制のあり方、人的な問題、等々、システム開発の全体にわたるものとなっており、結果改善提案もその広範囲をカバーするものとなっている。

 特許庁システム最適化計画の遅れについては、本報告書に詳しいが、現状としては、平成21年10月時点で、「特許庁運営基盤システム」の運用開始時期は平成26年1月、「特許庁新検索システム」の運用開始時期は第1ステップを平成27年1月、第2ステップを平成27年7月とすることとされていたものが、本事件による入札の延期、調査等の影響でさらに遅れている。特に「特許庁新検索システム」は、現行特許電子図書館IPDLの後継としても位置づけられており、サーチ特化型機能、固定URL等による公報提供サービス、内部使用APIの公開等、利便性を高めることが期待されていたものであり、ユーザーへの影響が大きい。

 本調査報告も、特許庁の新たな最適化プロジェクトは、審査審判等の迅速化・効率化のみではなく、特許庁による法制度改正や柔軟なサービス向上を最小限のコストで迅速に実現することにより、ユーザである産業界、大学、研究機関等の多くの関係者にとっても大きな利便性の向上をもたらす重要な事業であると位置づけている。

 その上で、限られた時間ではあるが、現時点の成果物などを検証した上で、これまで計画遅延があるが、平成21年4月以降の原因分析、設計アプローチの変更、設計体制強化等によって徐々に改善傾向にあることが認められ、今回提出された「設計成果物」についても、解消すべき残件はあるものの、概ね今後のプログラム開発の土台となり得るものであり、プロジェクト再開は可能であると認められる、としている。

 一方、今後の課題として、今後の複数調達、参画ベンダの増加等から発注者とこれらのベンダが相互に協力連携が今まで以上に課題として大きく、特許庁、東芝ソリューション及びアクセンチュアの三者、今後各々が果たすべき役割・責任を改めて確認し、プロジェクトを確実に実現するために必要な体制を早急に整備することが不可欠であるとの指摘もなされ、三者に対して、UA調達を再開する前に、本報告書の提言中、緊急性の高い①適切な開発計画の策定、②複数ベンダによる開発に向けた連携の強化、③外部有識者による監視体制の整備、の3点について、具体的な改善措置を確立することを求めるとしている。
 さらに、これに当たっては、特許庁、東芝ソリューション及びアクセンチュアの三者は、本システムの稼働をこれ以上遅らせることは、我が国の産業界を始め多くのユーザに不利益をもたらし、知財制度という我が国産業競争力の基盤を揺るがせかねないものであるということに十分に留意すべきであると強く注文を付けている。

 特許庁、東芝ソリューション及びアクセンチュアの三者は本報告書の提言を受けて、今後の事件再発防止はもちろんのこと、早急に特許庁システム最適化計画の再開とユーザー本位での確実な実施を求めたい。


【関連リンク】

◆経済産業省:「特許庁情報システムに関する調査委員会」からの調査報告書の提出について
http://www.meti.go.jp/press/20100820003/20100820003.html

【関連記事】

◇「特許庁システム最適化計画」「新検索システム」の更なる遅れを懸念する(2010/06/23 13:07)
http://blog.hideharus.com/ip/2010/06/post-6321.html

以上

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